Expats in Japan

【脱退一時金制度】日本で働いた外国人の年金は返ってくる?

 

今回は、一時的に日本で働く外国人が知っておきたい脱退一時金制度のお話です。

出身国が日本と社会保障協定を締結した国であれば、年金加入期間の通算等が可能な場合があります(各国の協定内容はこちら)。しかし、社会保障協定を締結していない国から来た外国人は、ご自身で手続きをしないと払いっぱなしで損をしてしまうことがあるので注意が必要です。

こちらの記事では、脱退一時金の対象者や請求方法、厚生年金の場合には一時金に係る税金の還付方法まで簡単にご説明します。該当する方は手続きを忘れずに行いましょう。日本の税金や保険は複雑で外国人にとてもわかりにくいです。近くに日本で働いている外国人がいらっしゃる場合には、ぜひ情報シェアください。

 

 

脱退一時金制度

脱退一時金制度の対象者は?

日本での滞在期間中に国民年金、厚生年金保険等に加入していた期間について、被保険者の資格を喪失して出国した場合、下記の条件すべてに該当するときには脱退一時金を請求できます。ただし、日本の住所がなくなってから2年以内に請求しなければなりません。

 

① 日本国籍ではない

② 6か月以上加入している

③ 日本に住所がない

④ 障害年金等の年金を受ける権利を有したことがない

 

 

脱退一時金の請求方法

脱退一時金を請求する際には、下記の必要書類を準備して日本年金機構に郵送します。出国前に日本国内から請求書を提出する場合には、住民票の転出(予定)日以降に請求書が日本年金機構に到達するように送付します。各国の言語での請求方法および請求時の注意事項の説明は、こちらをご確認ください。

 

①脱退一時金請求書(国民年金/厚生年金保険)

②パスポートの写し

(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)

③銀行名、支店名、支店の所在地、口座番号および請求者本人の口座名義であることが確認できる書類(銀行が発行した証明書等)

④国民年金手帳その他基礎年金番号が確認できる書類

⑤日本国内に住所がないことが確認できる書類(住民票の除票の写し等)

※出国前に役所で転出届を提出した場合には⑤は不要

 

脱退一時金はいくらくらいもらえる?

脱退一時金の支給金額は加入期間等により異なります。支給金額のイメージはこちらをご参照ください。

なお、特定技能1号の創設により期限付きの在留期間の最長期間が5年になったこと等を踏まえて、2021年4月より支給額計算に用いる月数の上限が3年から5年に引き上げられました。

 

厚生年金の脱退一時金にかかる源泉徴収税の還付

厚生年金の脱退一時金には源泉徴収税がかかります

非居住者が支給を受ける厚生年金保険の脱退一時金は、支給時に20.42%の税金が源泉徴収されます。

 

「退職所得の選択課税による還付のための申告書」の提出方法

日本での最終の住所地もしくは居住地を管轄する税務署に、「退職所得の選択課税による還付のための申告書」を提出することで、税金の還付を受けられる可能性があります。

 

①帰国前に還付手続の代理人を決定し、税務署に「納税管理人の届出書」を提出します。

 

②日本年金機構に脱退一時金申請を行うと、提出後3,4か月で振込が行われます。脱退一時金の送金と同時に「脱退一時金支給決定通知書」が送付されるので、原本を納税管理人に送付します。

 

③納税管理人が還付申告を行います。

 

 

当税理士事務所では、納税管理人や還付申告の代理も承っております。お気軽にご相談ください。