帯同者の場合、今後も住む場所が定期的に変わる可能性があるため、場所にとらわれずに働きたいという理由から起業のご相談を受けることが多いです。帯同者でなくても、特に女性はライフステージによって仕事にかけられるリソースが限られるタイミングが出てきやすいため、より自由度の高い働き方を希望する人が増えていますよね。
日本に住んでいれば、開業届を出して走りながら考えるという方法もありますが、海外在住者の場合にはそうはいきません。そこで、今回は、起業を検討している海外在住者が起業前にはじめておきたい3つのことをご紹介します。
①自分と向き合う
起業を選択する場合、個人事業主として、もしくは法人設立をして事業を展開していこうと思い立ったとき、自分に何ができるのか、自分は何がしたいのか自分自身をまず見つめなおすことになります。自分の頭の中にある考えや想いを言語化するためには、人と会って話したり、紙に書きだすことが有効といわれるけれども、具体的にどうすればいいのかよくわからない。そんなときは、以下の質問に答えることで、事業の種が見つかるかもしれません。
①前職は何をされていましたか?前職に対する今の気持ちも併せて振り返ってみてください。
②場所・年齢など何の制約もないとすると、何かしたいことはありますか?
③もし起業するとすれば、どういった分野でできると思いますか? (ちょっとできるかも程度でOK)
④もし起業するとすれば、どういった分野でしたいと思いますか? (ちょっと気になる、してもいいかも程度でOK)
⑤帯同生活で優先していることは何ですか?
⑥帯同生活で優先したいことは何ですか?
いかがでしたか?これかなと思うものを1つ選んで仮で決定してみましょう。そのうえで、この事業を行うとしたら、、、、と考えてリーンキャンパスを利用してみるのも頭の整理に役立ちます。リーンキャンパスは、リーンスタートアップの著者エリック・リースが提唱した1枚の図に事業アイデアをまとめめる方法です。ポイントは、考えすぎず、とりあえず書いてみること。書いているうちに、色々と調べたり、新しいアイデアが浮かんだりすることもあります。いつ始めるか(半年後、1年後)も仮で決定してみるとより具体的に考えられます。帯同期間は1人の時間をつくりやすい貴重な期間でもあるので、この機会に自分との対話を楽しんでみましょう。もちろん、向き合った結果、起業じゃないな、というパターンもあります。
②起業前にホームページを作成しはじめる
立ち上げる事業がどのようなものかにもよりますが、事前に時間がある場合には、事業のホームページ(ドラフト)を作成しておくと起業後の事業展開を加速することができます。お客様を受け入れるオフラインのお店のイメージですね。もちろんSNSでも受け入れることはできますが、最終的な受け皿として独立したホームページがあると信用度が上がりますし、より丁寧な説明が可能になりお客様の安心にもつながります。
ちなみに、私自身もExpatfamily.netおよびかづさ税理士事務所のHPを自分で作成して運用していますが、税理士事務所開業前に作成したものです(税理士事務所HPの公開は開業後です)。インスタなんかもコツコツ更新したものが、ストックとなっています(開業後の更新が滞っている💦)。私の場合、積み上げは成果物が目に見えるために自分が少しずつ進んでいることがわかり、精神衛生上もとても良い影響をもたらしました。そして、現在はいずれのHPもお客様からお問合せいただく大切な窓口になっています。
今はネットで検索したりChatGPTさんに聞けばワードプレスの作成方法なども簡単に調べることができます。自分でチャレンジするのも良いですし、誰かから直接学ぶ方が好きであれば習い事としてはじめることもできます。事業を始めた直後はなかなかアクセスが増えないこともありますので、ココナラ等のプラットフォームを併用してみるのも良いでしょう。手数料が22%かかりますが、丁寧に取り組めば良い口コミをいただける可能性が高いですし、その口コミを見てHPからお問合せいただけることもあります。
パートナーとも話しあう
海外赴任が決まったらドタバタですぐに海外赴任者は現地へ、あとから帯同家族がついていくパターンが多いかと思います。一緒に引っ越すことは決まったけれども、引っ越した後の生活や帯同後のお互いのキャリアについて話し合うタイミングがなかった、なんてこともよくあります(最近は帯同前に海外赴任する側の夫さんから、妻のキャリアを継続する方法について相談いただくこともあり、とても嬉しく思います)。
夫婦とはいえ、考えていることは話さないと伝わりません。異国での生活を一緒に楽しく過ごすために、どうすればいいのか。相手の心を開くには、自分から。それぞれご家庭の事情があってなかなか難しいこともあるし、心の余裕がないときももちろんありますよね。辛くなったときには、家庭以外に相談できる場所も確保しておくことも忘れずに、お互いにとって良い関係が作れるように努力していきたいものです。
今回ご紹介した3つのステップは、自分と向き合う、起業前にホームページを作成しはじめる、パートナーとも話し合うです。これらのステップを踏むことで、起業に向けた準備を進めることができ、スムーズなスタートが切れるでしょう。
ただ、滞在国によっては、就労許可の関係ですぐには働き始められないケースも少なくありません。また、少し視野を広げてみると、滞在国だからこそできる経験もあり、本帰国後に起業する方がコストなどを考慮するとベターな方法かもしれません。一度頭の整理をしたいけれども誰に相談したらよいかわからない、そんなお悩みをお持ちのかたはお気軽に当事務所のサービスをご利用ください。
[…] 先日の記事「海外在住者が起業前にはじめておきたい3つのこと」でお話した自分と向き合うことやパートナーと話し合うことは、起業するしない関係なく帯同生活を楽しく過ごすうえでとても大切なことです。ただ、実際したくてもできない、わかっていてもなかなか進まないこともありますよね。そんなときは、1つの方法として、コーチングを試してみてもよいかもしれません。 […]