①夫の会社の許可(帯同手当含む)
②就労許可
③税金
①配偶者が帯同して働くこと自体を実質的に禁止している場合がある
②前例がない場合、駐在員の給与計算式の変更等規程の見直しが必要、税金計算その他手続も増加するため会社のOKが出にくい
③配偶者が働く場合、駐在員の帯同手当等特別手当がなくなる又は減る可能性が高い
海外赴任者の場合、上乗せでハードシップ手当や家族帯同手当などの特別な手当がつくことが多いです。ただし、詳細は各社異なるので、まずは、夫の会社の規程を確認するか海外人事担当部署に確認してみましょう。
帯同者が働かないことを前提として駐在員のお給料を計算していることが多いので、働く場合にはたとえば渡航費用、一時帰国費用等の支給減額の覚悟が前提になります。気になる方は、手当の金額を確認したうえで、働いて得られるお金と比較してみてください。
そして、どうして自分が働きたいのかを自分の胸に手を当てて聞いてみる。好きな仕事を続けたい、経済的に自立したい、社会的なつながりを持って自分らしく過ごしたい、、、一人ひとりの想いがあるはず。
手当が減っても構わない場合には、帯同前に会社に交渉することになります。なかには、現地で働くことでトラブルに巻き込まれるリスク等を危惧して、配偶者が働くこと自体を実質的に禁止している会社もあります。
あなたが帯同予定者で会社員の場合には、勤務先の上司に相談して海外リモートワークの許可をもらえるように交渉してみましょう。リモートワークが急速に普及している今、OKが出る可能性は案外低くないと思います!ご自身の業務を洗い出して、リモートでできる業務とそうでない業務を整理したうえで上司を説得しましょう。
夫の会社の許可については、あくまで会社の規程や総務の判断によるものですので、特例もありうるし、何より会社の帯同家族に関する規程自体、社会の変化に応じて変えていくべきものです。前例を積み上げて、駐在員配偶者のリモートワークが当たりまえの社会にしていきましょう。
②就労許可と③税金についても教えてくれる?


赴任予定国でのリモートワークが就労許可の問題上どう取り扱われるかについては、現地の弁護士や滞在予定国の労働局等に問い合わせてみましょう。
①日本および帯同国において居住者か非居住者か
②帯同国と日本の間の租税条約の確認
③帯同国が全世界所得課税か国内源泉所得課税か
居住者→国内外すべての所得について納税義務あり(全世界所得課税)
非居住者→国内源泉所得に限って所得税を納める義務あり
居住者=日本国内に「住所」があるか又は現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人を指します。ただし、滞在地が2か国以上の場合、住所がどこかの判定は、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断されます。
一方、帯同国の居住者に該当するかは、その国の法令によって決まります。帯同国でも日本でも居住者と判定された場合には、租税条約で二重課税を防止するため判定方法が定められています。どちらの国の居住者と判定されるかは各国の租税条約や当局の協議によります。
住民票を抜いて”普通に”帯同する場合は、原則非居住者となり、日本では国内源泉所得にかぎり所得税を納める義務が発生します。そして、帯同先では居住者となり、帯同先の法律にしたがって税金を支払うことになります。
所得税法上、国内源泉所得の範囲は定められていて、たとえば国内で業務を行う者から受ける著作権の使用料などが該当するわ。その他の列挙内容は下記リンクを参照してね。
国内源泉所得の判定は国税不服審判所で争われることもあって、2019年3月には非居住者期間中のFX取引に伴う所得は国内源泉所得と認定されているわ。
そうね、でも判断が難しいところでもあるの。著作権の使用料って何?ってなると思うんだけど、たとえばライター、翻訳家、デザイナーさんのお仕事でも契約内容によって異なるから注意が必要。しかも、列挙されているものに含まれていても、租税条約や議定書等の取り決めによって異なる取扱いがされることも少なくないよ。個々のケースによって取り扱いが異なるので、専門家に確認することをおすすめします。
帯同国と日本の間で租税条約が締結されている場合、規定が競合する場合には国内税法の規定による課税を制限する方向に働きます。 国内法では課税対象でも、租税条約上免除またはより低い税率の記載があれば、租税条約上の規定が適用されます。

帯同する国との租税条約を調べてみてね。減税や免税がある場合には、租税条約に関する届出書の提出を忘れずにね。
最後のポイントは、帯同国での居住者の個人所得税の課税方式。
居住者の個人所得税の課税方式は、全世界所得課税方式と に大きく分けられます。全世界所得課税方式は、国内国外すべての所得に対して課税する方式で日本、アメリカ、中国、インドネシア等多くの国が採用しています。一方、国内源泉所得課税方式とは、その居住国で稼いだ所得のみに課税する方式でシンガポール等が採用しています。
帯同国がどちらの課税方式を採用しているか確認してみてね。全世界所得課税方式の場合には、居住者であれば国外課税所得にも課税されるため原則確定申告が必要よ。
それって、日本にも帯同国にも税金を支払わないといけないケースがあるってこと?
その場合には、どちらに支払うべきか二国間の租税条約で定められていて、申告時に他国で支払った税額を税金計算上控除できる外国税額控除制度があるから二重課税については大丈夫。でも、帯同国が全世界所得方式の場合には納税方法に注意が必要なの。
納税方法?
旦那さんと合算して申告するとなると、会社とのやり取りも大変そうだね。。
①現地の日系税理士事務所に相談する。現地で申告が必要な場合は依頼する。
②現地で税金がかからない程度で働く(各国の所得控除金額や租税条約を調べて概算する)
③日本の居住者として生活の拠点を日本に残し、滞在予定国と日本を往復する(帯同ではなく単身赴任)
なるほど。。。いろいろ考えて頓挫する駐妻が多い理由が少しわかった気がするよ。けれども、最近では実際にリモートワークしている人が情報をシェアしてくれていたり、少しずつ変わってきているんだね!